ぐにゃぐにゃトポロジー

日記。タイトルは本文と関係ありません。

映画「SING」は 歌の力が良く分かる映画!

 

ついたちです。映画の日です。

水曜日です。レディースデイです。

だから

映画「SING」を観た。よかったのでお伝えします。

 

「SING」。なんてシンプルなタイトル。

最近は4文節のタイトルとか宣言系のタイトルが蔓延っているので暑い日の熱い風呂くらいグッときますね。

 

このタイトルで歌わなかったらアメリカでは裁判を起こされるので

裁判を起こされたくない主人公は歌のコンテストを開くことに。

吐くはずのなかった嘘がチラシによって街のみんなの元へばら撒かれるところからお話は始まります。

 

この映画のいいところは何といっても

この冒頭の嘘が全く話に生きてこないところだと思う。

何しろ、びっくりするくらいに終始健やかな世界なのだ。

少なくとも誰かが誰かを妬んだりする世界ではない。

 

歌モノの映画やドラマというのは往々にして

主人公はもちろんのこと登場人物にはそれぞれ

抱えている悩みや葛藤があるもので、

ましてコンテストモノならば、それぞれに勝たなきゃいけない理由があり

積み重ねて来た膨大な時間や積り積った思いを背負っていることが物語の面白みなり深みなりとして盛り込まれているものだ。

少なくとも誰が優勝するのかワクワクしたりはするものだ。

 

たれ蔵と、アローと、ピーターⅡと、カスケード。

みんなに負けて欲しくない気持ちを持ったりとかあると思うんだ。

 

しかし、「SING」はそうではない。

「SING」に出てくるコンテスト出場者の中で、何が何でも優勝しなければならない理由のあるものは一人(一匹)もいない!

コンテストに参加するのは

皆が皆、たとえば今現在の生活がこのまま続いても

不幸だと感じるでもないこのままでも悪くはない。

そんな環境下にいる出場者のみ。

愛すること愛されることをちゃんと知っており、

優勝できると踏んで自らの足でコンテストに繰り出してくる程度には、歌が上手い自負もある。

人より得意なことがあると思えるのは実はとっても尊いことだ。

ただ、なんだかあと少しが、ほんの少しが足りない届かない上手くいかない。

そんな人達(動物達)の映画。

 

背負うものが特にあるわけでもない。優勝してもしなくても生活は続いていく。

一見すると、与えられてばかりの人生を送っている登場人物オンリーなわけですが、それがいいのです。

苦難があってもあっという間に救われちゃって、

簡単に許されちゃって、

真面目にお金稼いだりしてるやつなんて誰も出てこなくて。

でもまぁそういうひとって余裕があるから自分以外の存在に優しいよねって思ったり。

その辺ですれ違う大量の歩行者の人生はきっとこんなものだ。

限界まで頑張らなくても困りやしない人生。ありふれた人生。

 

なのに!なのに!

 

そんな人生を生きる彼らの歌がステージで弾けるように輝くんです。

笑みがこぼれ、胸が熱くなる。

楽しいんですよ。歌って最高ですよ。

 

レミゼは人生を背負って魂を燃やして歌い上げる歌が

観ている人に届いて堪らない高揚感を生み出すけれど、

「SING」は誰とも特別違わない登場人物たちの歌がきちんと届くのだから、純粋に歌って最高!と思えて良い。

 

歌の力ってものがどんな姿をしているかを

窺い知ることができた気がした。

 

ダイレクトに歌が飛び出してくる。

しっかりと受け止めて、抱きしめて、映画館から連れ出して、家に連れ帰って、布団の中に連れ込んで、「歌っていいな」という気持ちとメロディを抱えて眠った。とても良い夢が見れた。最高の夢だった。

 

ちなみにその日見た夢だが、

自分の顔に象の鼻が生えて(ミーナの鼻)、鼻が重すぎて首を痛める夢を見た。

首が完全に終わってるけど鼻も終わってて見られたくないから病院に行けないと悩んだり、鼻先から丸めてって何ロール行けるか試みたりな夢。

起きたら本当に首の後ろを痛めていたが、

自分の鼻を抱き枕にした感触がこの世のものとは思えないくらいに最高に気持ち良かった。”ひんやりもにもに”の感触を一生忘れない。忘れたくない。

もう一度同じ夢を見たい。もにもにしたい。もに足りない。

 

ただ一つ映画の中で気になったのは、アメリカンジョークなのか何なのか、いろんな作品に登場するあるあるシーンなのだけれど、

お金をくれた通りすがりのお猿さんに対してネズミが引くくらいのカツアゲを仕掛けるシーンがありましてね、

喘息持ちのお猿は吸入器を落としてしまうのですよ。

そこでネズミが聞く。「ハッパでも吸うのか?」

 

いや、ひっどーい!悪すぎるって!ネズミは体の大きさからして食費も家賃もかからないんだからお金いらないだろうにそんな暴言まで吐くの!

 

似たような台詞や掛け合いは洋画でよく見かける気がするが、

子どもの見る映画でこのシーンを入れるのは違和感たっぷりで、館内の子どもたちの反応が急に気になった。

チュウ兵衛親分ならそんなこと絶対言わないのに!

 

それでもマイクの歌はピカイチだ。

もうそれなんだよ。この映画はそれなんだ。

みんなの歌なんだ。歌うみんながみんなの歌う歌が素敵なんだって。

 

歌の力が存分に味わえる映画「SING」。

歌が好きならきっと好きだ。だから見てみたらいい。

レッドブルを飲むよりもガツンとエナジーを補給できるぞ。

夢の中で翼が生えるどころか象の鼻が生えちゃうくらいのエナジーを

是非とも体感して欲しいものです。

 

 

おしまい